企画要旨・目的

数理を基盤として分野間連携を進め,理学の新融合分野の創出を目指す上での障壁の一つに,それぞれの分野の諸問題がどのように数学的に解決されるか(ニーズ発掘)とどのような数学が利用可能か(シーズ展開)を捉えることが難しいことにある.特に数学以外の分野の研究者が数学研究者側への働きかけをする際のきっかけ作りや,それぞれの問題の数学的な課題への翻訳が専門用語の壁のために難しいことなどがその障壁の中心となっている.従来は,個々の研究者の人的つながりの中から偶発的に数学的な課題が見出され,翻訳を受けて共同研究などにつながってきた.本スタディグループではこれを事業として,組織的に行うことで,潜在的な数理に対するニーズや数理側の持つシーズを発掘し研究者をつなげる.理学などの諸分野の課題の数理による連携を促進するため,様々な問題を「ケース」と見立てて,そこに潜む数学的諸問題をその難易度別に解体と仕分け(診断)を行い,それに応じて必要と思われる数理的課題解決策を提示する.

実施形態

  • ○   数理的な展開によって解決になりそうと思われる問題を随時メールにて受け付けます.
  • ○   問題をコーディネータが問題提案者とともに議論をして,第一次スクリーニングを行います.
  • ○   スクリーニングの結果として,ケースを以下のような段階に分類する.
    • (1) 既存の文献や研究で解決が可能なもの
    • (2) 具体的な数学的課題に展開可能なもの
    • (3) さらに問題を詳細に分析して専門家を交えた検討が必要なもの
  • ○   これらへの対応として,(1) については文献紹介,あるいは研究者の紹介を行う.(2) については研究者の紹介,あるいは具体的なセミナーの提案などを行う.(3) については以下のような第二次スクリーニングを行う.
  • ○   第二次スクリーニング(ケース検討会)の実施
    • 上記(3) の段階の問題については,関連する研究者が集まって問題の詳細について解説してもらうとともに,数理的課題としての発掘や展開を検討するケース検討会を実施する.ここには,若手研究者や学生,関連する分野のシニアの教員が参加し,多方面から検討を加える.必要に応じて,研究集会・専門家の招聘・日本の数学研究機関への橋渡しを検討する.